砂と荒涼と花

Sea, Sand, Silence and Flowers.

About

ハナ 2020-009 Rosemary #2

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 今朝、ローズマリーの隣にパセリのプランターを移動させた。雑草を抜き、越年した株の隣に種から発芽させた苗を植えた。そしてまたパセリの苗をつくるべく種を蒔いた。なぜかタイムを上手く育てられたためしがないが、ローズマリーとパセリはいつも私を幸せにしてくる。

砂景 20-002

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 地図を頼りに歩いてたはずなのに、このあと私は正反対の方角へ進んでいた。歩いてきた方角へ後戻りするつらさを想像したとき、このまま間違った方角へ進もうと思った。そちらへ行けば、ますます目的地から遠ざかり何もかも無に帰すのに。

海景 20-002 結界と海景

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 旗竿をくくりつける柱が、世界の意味を区切っている。旗を立てるためにあるのは知っている。だが用途なんてどうでもいいくらいに、こちちとあちらを分けている。

惑星と文明 20-003 時間は砂となって降り積もる

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / メヒコシティの空気の密度が薄いのに気づいたときタクシーは旧市街地のグランオテルを目指していた。それからずっと意識はぼんやりしていたのかもしれない。直裁な紫外線が水分を含まぬ大気をまっすぐ進み空気遠近法が存在しない空間にも翻弄された。そして湿度を再び感じたのは三日後砂漠から海へ下る途中だった。あれから二十数年、わたしはずっとぼんやりしたままかもれしない。

惑星と文明 20-002 時間は砂となって降り積もる

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / この屋根、この柱、この壁を見つけて安堵した。砂の世界を歩きつづけて、人が人として安住できる場所にほっとしたのだ。人が住むべき建物ではないのは知っているが懐かしくさえ思ったのである。

Past Light 20-006 漂着

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 植物だろう。しかし名前は知らない。誰かが持ってきたものではないだろうから流れついたのだろう。どこから? どうやって? わからない。なぜ、こんな姿で。どうして私と出会ったのか。

Past Light 20-005 桟橋にて

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / ずっと私は水に落ちた自分を想像して身構えていた。馬鹿らしいけれど、ずっと怯えていた。落ちたら泳げばいいし、ここは泳ぐほどもない深さなのに。この世ではないものを海面に見ていたのだ。

Past Light 20-003 ナミエボウル

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 記憶の中にあるボーリング場とナミエボウルは別物で、私が勝手にセンチメンタルな気分になっているにすぎない。ここで遊び、ここを見て生きてきた人の気持ちと重ね合わせるのはやめよう。ナミエボウル前を通る国道を南相馬方面へ進むと開口部をベニヤで封鎖したセブンイレブンがあった。このセブンイレブンは、2020年現在アルバイト店員を募集している。

Past Light 20-002 浪江の家

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 既に何もかもが変わり、この景観は過去のものだ。あるものがなくなり、ふたたび始まる。私が暮らす場所より、浪江は圧倒的な速度で9年が過ぎさった。2020年、人々の帰還が進み、国道6号の二輪通行不可制限もなくなる。この季節、この時間に太陽は同じ場所を運行しているが、過ぎ去った光を見ることは二度とない。

Past Light 20-001 ある壁

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 光との出会いは数多くの偶然とほんの一握りの必然に左右され、その光について思う時すでに過去のものになってこの世には存在しない。そして二度と出会えないのだった。まだ季節は冬だが、ここには春が兆していた。

海景 20-001 何気ない海景

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ とりたてて何事もなく、何事も起こっていないようにすら感じる退屈を真の幸福と呼ぶべきかもしれない。いまこのとき悲惨や幻滅や堕落や破滅が始まりつつあり、何かが音を立てて崩れているのは確かだが、私の目の前にある幸福を幸福と思うほかないではないか。

惑星と文明 20-001 時間は砂となって降り積もる

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / だんだんどうでもよくなる感覚はなかなかよいものかもしれない。吹き付ける風に煽られるに任せて、ずっとここに立って、ずっと海を見ている。三途の川ならぬ三途の海を前にした気分だ。

ハナ 2020-007

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます /花は、既に春だった。そして何も気づかぬまま冬の部屋に飾られている。春はまだ先だが、年齢とともに時間の経過が加速しているからきっとすぐ巡ってくるに違いない。味気ないとも[……]

ハナ 2020-006 Anthurium #6

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / アンスリウムの花言葉は、「情熱」「印象深い」。へえー。適当なものだ、花言葉なんて。取り立てて好きな花ではないし、プラスチックのような質感と単純極まりない赤い色が特徴の品種仏炎苞はむしろ嫌悪感すら感じるのだが素通りできないものがある[……]

ハナ 2020-005 Anthurium #5

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 花言葉は誰がどのようにして決めて、どこに集約されているのだろう。自然発生的に生じた花言葉が19世紀に花言葉辞典としてヨーロッパでまとめられたらしいが、新たに発見された植物の花言葉は誰がどうのようにして決めているのだろう。さて、どうしたものかとアンスリウムを見るといつも思う[……]

ハナ 2020-003 Anthurium #3

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 取り立てて話題はないが、一言も発しないままなのも落ちつかない状況というものがある。独り言でなく、会話についてだ。たぶん、これと同じなのだ。さて、どうしたものかとアンスリウムを見るといつも思う。取り立てて好きな花ではないし[……]

ハナ 2020-002 Anthurium #2

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ Anthurium / アンスリウム さて、どうしたものかとアンスリウムを見るといつも思う。取り立てて好きな花ではないし、プラスチックのような質感と赤い色が特徴の品種仏炎苞はむしろ嫌悪感すら感じるのだが素通りできないものがある。異質である。異様である[……]

その場所に、その彼方へ [定点から]19-007〜015

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 時を、日を変え、その場所で見えるものは人であれ波であれ砂であれ雲であれ同じではない。しかしその場所には同じ人が波が砂が雲が横切り続けているように感じられてならない。ずっと、いつまでも。その場所から、その彼方へ。

Past Light 2019-005

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 人は道をつくらずにいられない。繰り返し歩き踏み固めるだけでは飽き足らず、道をより道らしくする。いつしか人が歩くままに道は姿を変える。さもなければ道は消える。いずれにしろ道はいずれ消える。

惑星と文明 19-030 時間は砂となって降り積もる

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 気温摂氏8度。彼は波打ち際をずっと遠くからこちらへやってきて通り過ぎて行った。私はずっとここに居て、シャッターを切ったあと立ち去った。赤い標柱を介しても、彼と私に交差するものはなかった。

閑話休題 無題扱いのS_4227

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ これといったタイトルなしのまま掲載します。カラー作品が続いたせいか、なんとなく息がつまるというか肩が凝るような気がします。個人的な感覚にすぎませんが。なんだろう、久しぶり色のある世界に高揚さえ覚えていたのに。

海景 2019-003*004

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ ここから先、その先、ずっと先へ。ここまで、その手前、ずっと手前まで。あきらかに違う世界と世界が接し合う領域を前にして、私は目を凝らす。まだ次の世界へは行けない。しかし、確実にいつかそちらへ行く。このように宣言しておく。

その場所に、その彼方へ 19-004

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 三途の川ならぬ三途の海を見ながら私は死ぬのだと思う。三途の海は起伏が激しい深い砂丘の先の、平かな砂浜の向こうにあって、渡ろうか引き返そうか戸惑うのだろう。たぶん、こんな場所で。

その場所に、その彼方へ 19-003

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 遠いところへ来ているはずなのに、ここで生まれここで育ち、いずれここで死ぬような気がしている。飛砂が地を這い脚に叩きつけられた直後、もうもうと辺り一面が砂つぶで覆われ視界が消え失せた。ああこんなことの繰り返しだったなと、今日まで日々を思った。さて、これからどこへて

2019_10 (1シリーズ

タイトルをクリックあるいはタップした先で各作品個別に画像を拡大することができます/ 2019年秋季の(いくつかのテーマを横断していますが)新しいシリーズ作品です。当ページ投稿日以前に個別に掲載した作品と、後日個別に掲載する予定のもの、個別掲載の予定がないものを一覧できるようにまとめました。

惑星と文明 19-027 時間は砂となって降り積もる

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ なぜ、ここにパイプでつくられた柵があるのか。なんとなく理由がわかる気もするし、まるっきり見当はずれの想像をしているのかもしれない。[……]私にとっての意味、それは永遠にわからないまま。

Past Light 2019-002

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます/ 干潟に鳥がいた。一羽が舞い降り、しばし群れの静謐がやぶられる。……どれくらいぼんやりしていただろうか、西の空からまた一羽が舞い降りた。まるで永遠の繰り返しのようだった。

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