海景 20-039 8:00 a.m.

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どこから見ても展望台の姿をした展望台に登るのは、用意された意図にまんまと乗せられる恥ずかしさを感じ、こんなものは自意識過剰であるとわかっていてもためらいを吹っ切ることができなかった。こうしていったい何年経過しただろうか。

遡れば、はじめて九十九里へやってきて、その後の私の写真を決定づけたモデルさんを[…]

海景 20-038 時間

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子供だった私は大学生の自分、それより大人の自分を想像することができても、思い描いたのは年齢なりの図体であったり、どこかで見聞きした上の世代の様子だった。もちろん当の本人は気づきもしないし、これは大学生になった私が想像する30代、30代になった私が想像する50代であっても変わりない。

私自身の成長や成熟、老いといった変化だけでも想像するのは困難なのに世の中との関わりによってどう人生が揺さぶられるかなどわかるはずがないのだった。そしてむしろ[…]

海景 20-037 陸風

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暑い秋から一転して肌寒い日が続いたが、ふたたび11月とは思えない暖かさになった。未明に家を出る際、それでも寒いのではないかともう一枚厚手の上着を車に積んだ。しかし夜明け前でさえ、そんなものは必要なかった。海辺はほとんどいつもどおりだったが、漁協の軽トラックの行き来が忙しく感じられた。いまから思えば、あれは九十九里に打ち上げられた大量のハマグリを海へ戻すなどするためだったのだろう[…]

海景 20-033 構成 海辺

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 冬がはじまろとしている光だった。撮影すべきものを見つけられず落胆していた。そのときジョルジョ・デ・キリコ描くところの人物が、砂山の向こうから現れるような気がした。神が配置したような構成が目の前にあった。

海景 20-031 色彩

タイトルをクリックあるいはタップした先で画像を拡大することができます / 微かな色があるところに光がある。光を追っていると新しい色との出会いがある。この浜のかすかに錆色をした砂と植物の緑と黄色と、漂着物の白さ、海は青から緑のグラデーションを描く。空は群青を薄めて、どこまでも薄めた色をしていた。

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