七歳、新潟、砂の記憶 19-001

いよいよあと数年で半世紀まえの出来事になろうとしている。半世紀まえの自分について考えることになろうとは、ほんの最近まで考えもしなかったし、50年という歳月が恐ろしくも感じられる。

七歳の私は新潟市小針の海岸を歩き回るのが好きだった。坂を登ると分厚い防砂林が現れ、防砂林を超えると砂の丘が幾重にも続き、砂の丘の先にようやく海が現れる。何に惹かれていたのか。たぶん砂に惹かれていたのだ。

あれからずっと深い砂と砂の起伏と海に憧れ続けている。砂の記憶を忘れられずにいる。

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    加藤(文)文宏 / Fumihiro Bun Kato 写真家・作家 / Photographer Author ・北海道北見市生まれ。 ・大学卒業時までに詩集「無題あるいはサラバ」、同「Cadenza」発表(共に絶版、在庫なし。「Cafebza」別装丁私家版のみあり)。 ・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画・取材、Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告、武田薬品工業広告、他。 ・長編小説「厨師流浪」で作家デビュー。小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・各メディアにおけるスチル撮影。 ・オリジナルプリントの製作、販売。 ・JSAHP正会員
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