AMOR 8

By Fumi-Hiro Kato "HIRO K"|2017-05-13|Amor

一時的に退院して撮影。

病室の天井を眺めるほかなかった時間から解放されたが、死について考えた私が消えて無くなった訳ではなかった。私は最小限の養分と最大量の抗菌剤を点滴されて生きていた。プラスチックの容器から滴り落ちるこれらは、腕の静脈に刺されて固定された針から体内に入り込んでいた。気が滅入るなか、あと何十年あるいは何年間後に死ぬときも、この風景そっくりな世界を見ながらなのだろうと思った。そして苦痛があろうとなかろうと睡眠に落ちるように死ぬ。たぶん、こうして死ぬ。死ねば、直前の意識も記憶も無になり、とうぜんその後もないのである。気がつけば天国ではなく、気がつくこともないのだ。これは愛についての、ひとつの、そして核心についての思考実験でもあった。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

AMOR 7 愛について オリジナルプリント 加藤文宏 加藤文 作品

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About Fumi-Hiro Kato "HIRO K"

加藤(文)文宏 / Fumihiro Bun Kato 写真家・作家 / Photographer Author ・北海道北見市生まれ。 ・大学卒業時までに詩集「無題あるいはサラバ」、同「Cadenza」発表(共に絶版、在庫なし。「Cafebza」別装丁私家版のみあり)。 ・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画・取材、Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告、武田薬品工業広告、他。 ・長編小説「厨師流浪」で作家デビュー。小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・各メディアにおけるスチル撮影。 ・オリジナルプリントの製作、販売。 ・JSAHP正会員